
隣接地を購入するには管理組合を法人化する必要があるか? |
私はあるマンションで理事をやっている者です。私の住んでいるマンションでは駐車場の収納台数が足らず以前より問題になっていましたが、この度、マンションの隣接地(現在空き地)の所有者から管理組合に対して購入の要請を受けました。理事会で購入条件や駐車場の設計条件等を調査した結果をもとに審議した結果、理事会では全員賛成で当マンションにてこの隣接地を購入する方向で検討を進めることになりました。 ところが、前回の理事会にてこの件を総会にかけるべく詳細の打ち合わせをしていたところ、ある理事より「所有権移転のために現在の管理組合を法人化する必要があるのはないのか」という話が出ました。しかしその理事自身も法人化の必要性について明確な説明ができず確信はないようです。はたして本当に法人化する必要があるのでしょうか。 |
結論から言うと、法人化しなくても所有権の移転登記は理論的には可能ですが、実際はかなりの困難があると思います。 法人化せずに所有権を移転する場合の方法としては、区分所有者全員の共有が購入予定地の買主となって全員を共有者とする共有登記をするやり方がありますが、区分所有者個人に土地の購入を強制することはできませんので、「全員が賛成すれば」という条件つきになります。しかし、これは実際上かなり難しいでしょう(これに対し、購入を希望する区分所有者だけがお金を出し合い買主となってその者達だけの共有登記をするという方法も、考えられないことはありませんが、マンション敷地と購入地との共有者が異なることは好ましくないのでお勧めできません)。 仮に全員の賛成を得て共有登記ができたとしても、その共有地を規約敷地として管理規約上も不動産登記上も明確に位置づけておかない限り、売買等で区分所有者の変更があった場合は、その都度所有者変更の登記手続きが必要となりますし、マンションの購入者が「その土地は買いたくない」等と言う場合も考えられるため、対応に大変苦慮することになるでしょう。 なお、管理組合の法人化に関しては、区分所有法の第47条~第56条に規定がありますが、法人化することにより管理組合法人の名義により不動産等の登記行為が可能となることを除くと(法人でない場合は、代表者個人(通常は理事長が多い)の名義で登記する)、法人格の有無で実質的な能力の差はあまりありません。 また、法人化していない場合でも、民事訴訟法第29条(法人でない社団等の当事者能力)で「法人でない社団又は財団で代表者または管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。」とされているので、管理規約があり管理者や理事長が選任されている管理組合には、民事訴訟法上の「当事者能力」が認められているので、訴訟行為の当事者となることができます。 そう考えると、通常のマンションの管理組合には組合運営に必要な実質的な「法人」としての権能を与えられているので、法人化しなくとも通常の運営においては、特段の支障はないものと考えられております。 もっとも現実には、法人化することにより管理組合法人名での登記が可能になるので、管理組合と取引する相手先が登記により安全性を確認した上で取引を進められるようになるので不動産の売買が円滑に進むとか、管理組合が金融機関から借入をする時に法人化していることにより金融機関の融資承認がよりスムーズになされるといった例はあるようです。 一方で、法人化する場合は名称・所在地などを集会の決議を経て決定し登記する手間が発生します(各理事の登記も必要となります。)し、管理者の制度は利用できなくなるので、理事が業務執行機関となり、組合法人を代表することになります。 今回ご質問があった所有権移転及び共有登記に関する件についてだけでいえば法人化した方が現実的という回答になります。 「法人の当事者能力と非法人との比較」
○・・・・・当事者能力が明らかである。 |
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