多くのマンションで屋上が関係者以外立ち入り禁止となっているのは、安全性の問題も勿論ありますが、屋上の防水機能保全という観点から禁止になっている面もあります。
一般的に、鉄筋コンクリート構造物(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート構造物(SRC造)、鉄骨構造物(S造)で造られている建物の屋上面はコンクリートを使用し施工されます。打設後、そのままであればコンクリートには硬化収縮によるクラックが発生します。さらに時間の経過とともに、建物の動きや温度変化等によってクラックが成長しますので、そこから雨水が浸入して漏水事故が発生する恐れがあります。
そうした事故を防ぐために、通常、屋上のコンクリート施工面の上に防水層を施す工事をします。
まず貴マンションで採用されている防水工法はなにかを確認して下さい。
一般に屋上防水に採用されている防水工法は、下記の4種類です。
1.アスファルト防水
アスファルトを合成繊維不織布又はラグ原紙に滲みこませたシート状のアスファルトルーフィングを溶融アスファルトで張り重ねるもので、比較的廉価で、仕上がりの信頼性も高いので、施工実績が最も多い工法です。
2.シート防水
厚さ1.2mm~2.5mm程度のシート状に加工した合成ゴムやプラスチックでできた防水シートを高温で圧着して、コンクリート面を覆う工法です。
3.塗膜防水
ウレタンやFRPを原料とする液状の防水材を塗ったり吹き付けたりすることによって防水皮膜を作る工法です。
4.セメント系防水
ケイ酸質系、塩化カルシウム系などの防水材があり、主に地下防水やピット内の防水に使用されます。屋上本防水で使用されることはほとんどありません。
これら①~④の工法は「露出防水」と呼ばれています。
「露出防水」の場合はその上を多数の人が頻繁に歩行すると防水層を破損する恐れがあるので、防水層の劣化防止の為原則として関係者以外の出入りはさせない方がよいでしょう。
屋上を開放する場合は、屋上防水を「保護コンクリート防水」にする必要があります。
これは、上記①の「アスファルト防水」の上に押えコンクリートを敷設することで防水層を保護する仕様です。(「押えコンクリート仕上げ工法」ともいわれます。)
通常ルーフバルコニーなど、防水層の上を人が歩行する場所に採用される工法ですが、一部屋上にも採用されているケースもあります。
貴マンションでは、従来から屋上への出入りを禁止していたということから「露出防水」が採用されていると推測されます。
花火大会のために開放した場合、縁台を持ち込んだり多数の人間が長時間歩き回ったりするでしょうから、防水層保護のため、屋上の開放は行なわない方がよいと思います。
ただし、どの防水工法を採用しているかは断言できないので、管理会社などに屋上防水の仕様を確認し、その意見を聞いた上で判断してみてください。
組合員の要望が強く組合としてもどうしても屋上を利用出来るようにしたいという場合、既存の防水仕様が「アスファルト防水」であれば、その上に押えコンクリート保護を施し「保護コンクリート防水」仕様にすることで対応できます。
既存防水仕様が「アスファルト防水」以外の防水工法であった場合は、まず「アスファルト防水」工事をした上で「保護コンクリート防水」を施す必要がありますが、この場合はどうしてもコストが高くなりがちです。
この場合、既存防水層の上に軽歩行保護板を設置し防水層を保護することで対応するという手段もあります。
(既存防水仕様によって保護板の材質が異なりますので、必ず設置前に管理会社や施工会社にご相談ください。)
なお、屋上を開放する場合は当然に鉄柵の設置などの安全性への配慮も必要ですし、追加構築物を設置したことによるマンションにかかる荷重も検討する必要があります。
これらのことは個々のマンションの特性により異なりますので、貴マンションの特性を把握しているマンション管理会社や施工業者に相談し貴マンションのニーズを満たした仕様を提案してもらった方がよろしいかと思います。
屋上防水工事は一般的にかなりの費用がかかるので、大規模改修工事のタイミングに併せて施工することをお勧めします。また、見積もりを取り組合員の十分な理解を得た上で行なうなど、慎重に進めるようにして下さい。