結論から言うと、当然に包括承継人に対し滞納管理費を請求できます。
まず話をわかり易くするため、包括承継人と特定承継人の違いを述べます。
<包括承継人>
人の権利義務を一括して承継する者をいいます。
例えば、相続により被相続人の権利義務を承継する相続人が包括承継人です。
<特定承継人>
他人の権利義務を個別的に取得し承継する者をいいます。
例えば、売買、交換、贈与などによる普通の権利の承継は、他人が持っている権利(不動産所有権など)の一部を売買・交換・贈与で取得し承継することになるので、これらのケースで承継した者はみな特定承継人となります。
売買契約の譲受人(買主)や、抵当権の実行により競売物件を競落して所有権を取得した競落人(買受人)も、特定承継人に該当します。
その事を理解した上で区分所有法第46条1項ではなぜ特定承継人のみがあえて規定してあるのかを考えてみます。
また、区分所有法第46条1項には「規約および集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる」と規定されています。
もし、特定承継人が既存の規約や集会の決議に拘束されないとすると、区分所有者の中に、それに拘束される者と拘束されない者がいることになり、区分所有者全員の円滑な共同生活が維持できなくなってしまいます。こうした事態を避けるために、同法では専有部分の特定承継人は区分所有権を承継することをもって当然に管理組合員になることから、既存の規約や集会(総会)で既になされた決議に拘束されることを明示したものです。
これに対して、相続等により区分所有権を取得した相続人は、包括的に被相続人の有した権利義務を一括して承継するので、当然に規約または集会の決議に拘束されるわけですから、区分所有法にあえて記載されていないに過ぎません。
もっとも、標準管理規約では第5条(規約の効力)で、規約の効力は包括承継人・特定承継人のいずれに対してもあるとの定めがあります。
貴方が理事長をやっておられるマンションでも、同様の記述があると考えられるので、一度規約を確認し、規約に書いてあればそれを根拠に請求すればよいでしょう。