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相続人がいない場合の長期滞納管理費等の請求方法‐マンションに関するQ&A

マンション管理Q&A

Vol.05 相続人がいない場合の長期滞納管理費等の請求方法

相続人がいない場合の長期滞納管理費等の請求方法

私が理事長を務めるマンションにおいて、長期滞納になっている住戸があり、所有者がつかまらないので権利関係を調査したところ、区分所有者が死亡しその後相続人がいないため管理費等が支払われることなく、長期滞納になっていることが判明しました。このような場合、管理組合としてどのような対応を取るべきでしょうか。

通常、管理組合としては、区分所有者に管理費等を請求しますが、区分所有者が死亡し相続人がいない場合、請求すべき相手が誰なのかはっきりとしない状態になります。

民法951条には「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。」と規定されています。そしてこの場合、利害関係人または検察官の請求があれば、家庭裁判所は相続財産管理人を選任しなければなりません。(民法952条1項)この相続財産管理人は、被相続人の財産状況を調査したり相続人不存在を理由に不動産の登記名義を「亡○野×兵衛(被相続人名)相続財産」と表示を変更したりします。

つまり、法人である「亡○野×兵衛相続財産」が管理費等の支払義務者となり、管理組合は滞納管理費なども含め、「亡○野×兵衛相続財産」に請求すればよいことになります。但し、相続財産管理人が選任されていることが前提条件となります。
法人の代表者である相続財産管理人がいないことには、債権の請求が行なえないからです。

質問にあるように、「調査したところ相続人がいない」ということですから、まだ「亡○野×兵衛相続財産」というような表示登記の変更がされておらず相続財産管理人が選任されていない状態にあると考えられます。その場合は、管理組合自身が管理費支払請求権を有する利害関係人として自ら相続財産管理人の請求を家庭裁判所に行なうか、他の抵当権者が相続財産管理人の請求を家庭裁判所に行なうのを待つかの2つの方法を選べます。

前者を選択した場合、申し立てをするための多くの書類(被相続人の相続関係を示す戸籍や除籍謄本など)を用意する必要がありますし、相続財産管理人に支払うべき報酬額などを裁判所に予め納める等の手続きが必要となるので、かなりの手間がかかります。もし、登記簿で抵当権等の担保権が登記されているようであれば、相続財産管理人がいなければ担保権の実行そのものができませんから、いずれその担保権者が相続財産管理人の選任を請求すると考えられます。

従って、管理費等の消滅時効の完成間近だというような特別な事情がない限りは、他の利害関係人が相続財産管理人選任を家庭裁判所に行い、これが選任されるのを待ってから、管理費などの請求を行なうことが得策だと思われます。

以上のことより今回のケースで管理組合が行うべきことは、下記の通りになると考えられます。
1. 登記簿を確認し登記名義が法人名義(「亡○野×兵衛相続財産」)になっているかを確認する。もしなってなければ他に担保権者がいるかどうかを確認する。
2. 当該管理費等の消滅時効の完成時期を確認する。
3. 利害関係人として自ら相続財産管理人の選任の請求を家庭裁判所に対して行なうか、他の利害関係人からの選任請求を待つか選択する。
1) 消滅時効の完成が間近である等特別の理由がある場合
管理組合自身が管理費支払請求権を有する利害関係人として自ら相続財産管理人の請求を家庭裁判所に行なう。
2) 消滅時効の完成が間近である等特別の理由がない場合
他の利害関係人からの請求による家庭裁判所による相続財産管理人の選任を待つ。
4. 相続財産管理人に対し滞納分を含めた管理費等の請求を行なう。
但し、こういったケースでは管理費等を支払うべき資産(積極財産)がないことが多く、その場合は、相続財産管理人からは滞納金の支払いは期待できません。但し、そうした場合でも、相続財産管理人が該当物件を処分することになりますから、その物件を購入した特定承継人に請求することで滞納管理費等を回収できるわけです。

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