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外壁塗装工事を計画された工事時期より延期したい‐マンションに関するQ&A

マンション管理Q&A

Vol.10 外壁塗装工事を計画された工事時期より延期したい

外壁塗装工事を計画された工事時期より延期したい

私が理事長をしているマンションは今年で建築後9年が経過しました。管理会社が作成した長期修繕計画書では、築後10年目にあたる来年には外壁塗装工事を実施することになっていましたが、分譲時に設定された修繕積立金額がかなり小額だったため、修繕積立金残高が不十分であり、工事費用の借入を行なわないと計画通りの工事を行なえない状況にあります。一方マンションについても、際立った外壁の汚れや劣化も見当たらず、他の理事からもまだ外壁塗装はやる必要はないのではとの声もあります。
私としても目視した限りでは外壁塗装をする必要がないように思えますし、計画では今のペースで月々の修繕積立金を積み立てていけば5年後には工事を行なうのに必要な金額に達しますので、現時点で工事費用を借り入れてまで工事を行なわず、5年後まで待って工事を実施したいと考えています。
ただ、私も他の理事も建築についてはあくまでも素人なので、外観上問題ないからといって、長期修繕計画に定められた工事を遅らせてよいものかどうかわかりません。
後々適切な時期に必要な工事を実施しなかったという批判を受けないためにはどのような進め方をしたらよいか教えてください。

長期修繕計画とは、長期的展望に基づき、マンションの建物、設備、外構などの各箇所、部分について計画的に適切な時期に修繕を行なうための目安として作成されるものです。
通常は国土交通省が監修した長期修繕計画作成ガイドラインを参考にして、それに設計会社や管理会社等の長期修繕計画の作成に携わる専門家が経験を加味して、事前に長期にわたる各修繕項目の内容・施工時期・費用等を算出し作成します。
従って、長期修繕計画上の工事実施予定時期をあくまで目安であって、実際の修繕工事の施工にあたっては、マンションの汚れや劣化状況の現状を具体的に診断し確認した上で、適切な施工時期を決めるというのが一般的のようです。

なお、塗装面の汚れや劣化状態は目で見ただけである程度の現状確認は出来ますが、内部の傷み具合を正確に把握するのは困難です。

塗装層内部や塗装層の下地への付着力、さらには下地の躯体表層部(コンクリート面)の劣化状況を把握してからでないと、外壁塗装工事の適切な施工計画は立てられません。また大型の構造物の場合は、同じ施工であってもその場所によって劣化状況が大きく異なる場合があるので、部分部分で施工方法が異なることもあります。
従って、実際に外壁塗装工事の施工前に劣化状況を中心として現状診断をする必要がありますが、一般的に現状診断はその段階に応じて次の2段階で分けられるようです。

1.簡易診断
目視と打診棒などの道具により外壁をたたいた打撃音を聞き分けることで外壁の劣化状態を判断するもので、建物の劣化度を一定程度認識するための診断です。

2.目視及び機械による診断
簡易診断の目視では対応できない箇所(バルコニーなど専用使用部分等)の目視と機械による診断を行ないます。さらに機械による診断は通常次の2つに分類されます。

1)中性化検査
マンションの躯体を構成するコンクリートの中性化が進行するとコンクリート内部の鉄筋が錆び、それにより鉄筋コンクリートの耐力が減少します。その鉄筋コンクリートの耐力の程度を測定するために行う検査がこの中性化検査です。
具体的には、元来アルカリ性であるコンクリートの風雨・炭酸ガス等による中性化の進行状況を、コア抜きでコンクリートサンプリングを抜き取り、フェノールフタレイン溶液(アルカリ反応性溶液)を噴霧することで中性化深度を測定します。その中性化深度を築年数で割り出すことでコンクリートの中性化速度を判断するというものです。

2)タイル・塗膜付着力検査
タイル・塗膜は、外壁の外観の美化のみならず、表面保護をすることでコンクリートの中性化を遅らす働きがありますが、その働きが適切に機能しているかを検証するために、外壁コンクリート表面を覆っているタイル・塗膜を、引張試験機を用いて一定引張力をかけ付着接着強度を測定する検査です。

「簡易診断」は、比較的簡便且つ安価な割に信頼性が高い検査で、マンションの全般的な劣化状態を把握するには適しています。まずはマンションを日常的にケアしているマンション管理会社にこの簡易診断を依頼してみてははいかがでしょうか。
そして簡易診断では判断材料として不十分と思われる場合には、簡易診断より費用がかかりますが、「目視及び機械による診断」をマンション管理会社や改修の設計を専門に行っている設計事務所やコンサルタント会社に依頼することもできます。
「目視及び機械による診断」は劣化状態を具体的に数字で表すことができるため、簡易診断よりもより説得力のある客観的な判断材料として組合員へ提供できます。

いずれにしましても、外壁塗装工事はマンションにとって多額な費用を要する工事となるので、例え長期修繕計画において工事を行う時期に差しかかっていたとしてもそれだけで判断せず、上記のように綿密な診断を行い、現状の問題点や工事の緊急性、必要性について客観的な情報を収集し、組合員を交えて十分検討した上で実施の可否や時期を判断した方がよいでしょう。

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